ディスカッションペーパー

Discussion Papers

ディスカッションペーパー

2022年

  • SSE-DP-2022-1「オッズ比の平方根変換」 岩崎 学(統計数理研究所/順天堂大学大学院)

    内容

    医療統計では,リスク比とオッズ比が重要な役割を果たす.リスク比はその解釈が容易で
    あるがオッズ比はそうではないのであるが,研究結果がオッズ比で報告されることが多い
    のが現状である.最近,オッズ比の平方根がリスク比に近似するという論文が出た
    (VanderWeele, 2017, 2020).ここでは,その平方根変換の近似の程度を信頼区間の被覆確率の
    観点から評価する.
    本稿の構成は以下のようである.第1 節で確率,オッズ,リスク比,オッズ比の定義を確
    認し,第2 節でオッズ比とリスク比の関係を示す.第3 節では,オッズ比の平方根変換とそ
    の簡単な性質,および信頼区間の被覆確率について述べ,第4 節ではシミュレーションの手
    順とその結果を示す.最後の第5 節で簡単なまとめを行う.参考文献では,本文中では陽に
    言及してはいないが関連する論文をいくつかまとめている.
    参考のため,付録にVanderWeele (2017) と関連論文であるBland and Altman (2000) の邦訳
    を示す.

  • SSE-DP-2022-2「ワクチンの有効率と有効者率」 岩崎 学(統計数理研究所/順天堂大学大学院)

    内容

    新型コロナへの対応として,政府によりワクチンの接種が強く奨励されている.新型コロ
    ナワクチンは「有効率95%」とも称されるが,これが何を意味するのかを理解している人は
    そう多くないのではないかと推察される.それ故に,ワクチンは果たして効くのか効かない
    のかの議論が巻き起こっているのが現状である(巻き起こっていないのであれば,それはそ
    れで問題かもしれない).
    そこで本論では,ワクチンの有効率に加え,有効者率なるものを定義し,それらを統計的
    因果推論の潜在的アウトカムの観点から考察する.有効率と有効者率の定義およびそれら
    の違いを示し,公表されている新型コロナワクチンの臨床試験のデータに適用する.また,
    ワクチンの有効率と称されるいくつかの研究レポートの解釈上の問題点にも言及する

  • SSE-DP-2022-3「操作変数法の理解へ:計量生物と計量経済の邂逅」 国友 直人(統計数理研究所)

    内容

    因果関係(causality) は統計科学を含め諸科学にとっては基本的かつ重要な
    分析対象である。計量生物と計量経済の分野ではこの間、統計的因果推論
    (statistical causal inference) が盛んに応用されている。本稿ではまずRu-
    bin (1974) に始まる反実仮想(counter-factual) モデルとAngrist, Imbens
    and Rubin (1996, 略してAIR) による操作変数法(instrumental variables
    method) を説明する。次に計量経済学における同時方程式と構造方程式
    (structural equation) を簡単な需要関数の例を用いて説明する。一般の構
    造方程式を用いて統計的因果関係を解釈し、操作変数法を含めた構造方程
    式の統計的推定法を議論する。構造方程式の推定ではOLS法(最小二乗法)
    は一致性を持たないので、操作変数法(IV 法) としてのWald 法、LIML(制
    限情報最尤法, 分散比最小法)、TSLS(2 段階最小二乗法)、GMM(一般化
    積率法) などの長所と短所を説明する。さらに構造方程式を巡る歴史的展
    開を説明し、最後に計量生物と計量経済などにおける統計的因果分析の
    さらなる課題を展望する。

  • SSE-DP-2022-4 “A Statistical Data Envelopment Analysis”, N. Kunitomo, Y. Zhao

    内容

    In operations research and management sciences, the data envelopment analy-
    sis (DEA) has been known as one of important tools. We develop a statistical
    data envelopment analysis (SDEA), which seems to be new to operations re-
    search literatures as well as statistical community. We first consider the basic
    statistical DEA model, in which the observed data is the sum of an increasing
    concave function of inputs and a random noise (or inefficiency) term taking
    only non-positive value. The purpose of data analysis is to estimate the un-
    known function, called the efficiency frontier, nonparametrically based on the
    set of observed data of inputs and outputs. The key idea is to use the non-
    parametric statistical analysis, the linear regression analysis and the statistical
    extreme value theory. We report an empirical analysis on the life-insurance
    industry in Japan as an application.